手のひらやわきの下など、体の一部から大量に発汗する疾患を「原発性局所多汗症」といい、汗の量が多すぎて日常生活に支障をきたす疾患と定義づけられています。

「原発性」とは、「原因がわからない」という意味です。
 

 
いわゆる「汗っかき」と「多汗症」は時に混同されますが、違いがあります。

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汗っかきと多汗症の違い 多汗症の判断基準

汗っかきは全身から出る汗の量が多いですが、局所多汗症は体の一部から大量に発汗します。
 
汗っかきは、病気が原因でなければ特に問題はありません。
 
原発性局所多汗症には、次のような診断基準があります。
 

 
特に原因がないまま、局所的に過剰な発汗が6ヵ月以上あり、さらに
 
1 最初に症状が表れたのが25歳以下
2 体の左右対称箇所に汗が見られる
3 睡眠中は汗が止まる
4 週に一度以上の症状がある
5 家族歴が見られる
6 日常生活に支障をきたす

 
以上のうち、二つ以上に当てはまるなら多汗症と診断されます。
 
「日常生活での支障」とは、手の汗であれば
 
・手をつなぐ、あるいは握手するのに気おくれする
・書類やノートが手の汗でぬれてしまう
・パソコンのキーボード・マウス操作で汗が気になる
 
といったことです。
 

 
局所性多汗症は、緊張などにより汗が出る精神性発汗と関連が深いとされています。
 
ちなみに、局所多汗症で汗が出るのはエクリン腺で、わきがの原因となる汗が出るのはアポクリン腺です。
 
局所多汗症とわきがは違うものですが、併発しているケースは珍しくありません。

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わき汗が多い 腋窩(えきか)多汗症とボトックス治療 効果期間や費用

いわゆる「わき汗」がたくさん出る「腋窩(えきか)多汗症」という症状があります。
 
命に関わるわけではありませんが、人目が気になったり、人間関係に自信が持てなくなったりと、本人が気にして生活の質を大きく落とすケースがあります。
 

 
腋窩多汗症とされる人は約700万人いますが、医療機関を受診する人は6%ほどしかいません。
 
さらに、受診しても8割の人は治療は受けずに帰ってしまうそうです。
 
2012年11月から、ボツリヌス毒素を使った「ボトックス治療」による腋窩多汗症治療に健康保険が使えるようになりました。
 
ボツリヌス毒素というと危険なイメージがありますが、確立された治療法なので問題はありません。
 
ボツリヌス菌が作る毒素を精製した薬剤を皮下に注射し、交感神経から汗腺への刺激伝達を阻害し、過度の発汗を抑える治療法です。
 
一回の注射で効果は4~9カ月持続し、目だった副作用もありません。
 
しかし症状を根治させる方法ではないので、再発したら再注射を施します。
 

 
治療費は医療機関によって違いがありますが、健康保険の3割負担で一回当たり2万8000円ほどです。

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