女性の美容を考えるうえで、女性ホルモンの影響を無視するわけにはいきません。
 
分泌される女性ホルモンの種類および分泌量の増減は生理周期および加齢で変化していきます。
 
その変化とともに肌の状態も変わるのです。

女性ホルモンの種類と生理周期や加齢によるホルモン増減と肌の状態についてまとめます。
 
(このコンテンツは吉木伸子医師の「いちばん正しいスキンケアの教科書」を参考にしました)

女性ホルモンの種類と作用

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの二種類があります。
 
エストロゲンは生理後に分泌量が増え、以下のような作用を持っています。
 
・肌にみずみずしさを与える
・免疫力を高める
・肌の調子を安定させる

 
これらからわかるように、エストロゲンは女性にうれしい働きをしてくれます。
 
肌のコラーゲンや水分量を増やすほか、女性らしい印象のボディライン、健康な髪を作るのを助けてくれるのです。
 
エストロゲンは初潮を迎える思春期から分泌量が増加していき、20代でピークを迎えます。
 
卵巣機能が衰えてくる30代後半から徐々に減少していき、40歳以降は急激に量が減ります。
 
そして女性の体調も大きく変化します。
 
対してプロゲステロンは生理前に多く分泌され、皮脂を過剰に分泌させるほか、
 
・ニキビやシミ
・イライラ
・むくみ
 
の原因になるといわれています。

生理周期とホルモン・肌の変化

生理周期と女性ホルモン・肌の関係をまとめます。
 
生理が始まると「エストロゲン」と「プロゲステロン」のいずれも分泌量が減るのでどちらの影響も低下します。そのため肌状態は安定します。
 
生理終了から排卵日までは、エストロゲンの分泌量が増加し、肌の調子は良好になります。
 
排卵日を過ぎるとプロゲステロンの分泌が増えてくるので、肌が不安定になり、ニキビなどのトラブルが増えます。
 
鏡を見る女性
 
こうした肌トラブルはホルモンの影響によるものなので、必ずしも肌質とは関係ありません。
 
例えば「ニキビが多いので脂性の肌ではないか」と考えがちですが、それは肌質ではなく生理周期が関係しているのかもしれません。
 
自分の肌質を判断する場合、生理周期と女性ホルモンの影響も考慮しましょう。

年齢とエストロゲン分泌量推移・肌状態の変化

”女性にうれしい”エストロゲンは年齢によって分泌量が増減します。

15~25歳 発達期

エストロゲンの分泌は思春期の頃から急に増え、25歳頃でピークになります。
 
そのおかげで肌はコラーゲン量は多く弾力に富んでいます。
 
シミもできにくく、成長ホルモン量も多いので肌のターンオーバーが盛んで肌のキメも整っています。
 
肌の状態としてはベストですが、男性ホルモンの分泌も活発なので人によっては肌がオイリー気味になります。
 
テカリやニキビに悩む人が多い時期でもあります。

26~35歳 成熟期

エストロゲンの分泌は安定しています。
 
妊娠や出産に適した時期でもありますが、人によっては紫外線などの影響でシミや小シワなど初期老化が現れはじめます。
 
成長ホルモン分泌は減少してくるのでターンオーバーの周期は遅れがちになってきます。
 
肌の水分量は減ってくる一方で油分量はまだ減らないのでニキビができる人もいます。

36~45歳 プレ更年期

卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が減ってくる時期です。
 
肌のコラーゲン量が減ってくるので肌の弾力が落ち、毛穴の開きやシワが目立つようになってきます。
 
肌のターンオーバーのスピードも落ちてくるので肌のゴワつきやくすみを感じるようになってきます。
 
1年ごとに肌の調子が変化するので、よく観察してのケアが大切です。

46~55歳 更年期

50歳前後で閉経を迎えるとエストロゲンの分泌量は急激に少なくなり、更年期になります。
 
のぼせや不眠、イライラなど、いわゆる更年期障害が出てきます。
 
コラーゲンを生み出す、肌の繊維芽細胞が老化するためシワやたるみなどが目立つようになります。
 
スキンケアや規則正しい生活、運動などが大切になってきます。
 

 
ちなみに女性が閉経を迎えると骨密度が低下し、糖尿病にもかかりやすくなります。美容だけでなく健康面でも注意が必要になるのです。
 
また女性器の「潤い」も少なくなり、性交痛のトラブルが多くなってきます。

女性の肌質 加齢による変化

女性の肌質は年齢とともに変化していきます。
 
・15~25歳の発達期では男性ホルモンの分泌も活発なのでオイリー傾向が強くなります
 
・26~35歳の成熟期には皮脂量は変わらない一方で水分が減り始めるので「乾燥脂性肌」の人が増えてきます
 
・36~45歳の「プレ更年期」では水分量がさらに減り始めるので乾燥傾向が強くなります
 
・46~55歳の「更年期」では、皮脂量も減ってくるので多くの人が「乾燥肌」になります

 
お気に入りのスキンケアは長く続けがちで、それで肌の調子がキープできれば問題はありません。
 
しかし年齢を重ねていくことで肌質が変わり、そのケアが合わなくなる可能性があることは覚えておいてください。

吉木伸子医師 肌質判定法(余談あり)

「よしき皮膚科クリニック」の吉木伸子医師の肌質のチェック法は以下のとおりです。
 
朝、洗顔をする前に肌を触ってみます。額ではなく、頬を触って判定しましょう。
 
・皮脂が浮いて、ベタッとししている→脂性肌
 
・皮脂のベタつきと同時にカサつきもある→乾燥脂性肌
 
・ベタつき・カサつきがほとんどない→普通肌
 
・カサカサして突っ張っている→乾燥肌

 
※余談です
ちなみに吉木医師は「混合肌」という肌質は存在しない、とされています。
 
Tゾーンがオイリーで、Uゾーン(左右の頬とあごにかけてのエリア)が乾燥している場合に「混合肌」と呼ばれることがあります。
 
しかしどんな人でも顔全体が同じ肌質ということはまずありません。
 
Tゾーンの脂質が多いケースがほとんどであり、「混合肌」であることが普通なのです。
 
自分の肌質はUゾーンを基準にして判断し、スキンケアを選択しましょう。
 
UゾーンのほうがTゾーンよりもデリケートなのでケアの影響が大きいこともUゾーンを基準にする理由です。