スキンケアにおいて肌の保湿は必須です。
「何はなくともとにかく保湿」と言っても過言ではないでしょう。
そのためのケアとして、
化粧水の後、乳液やクリームをつける
という方法はもはやセオリーになっています。
日々のルーティンになっている女性も多いのではないでしょうか。
しかし、このやり方だけでは十分でないケースもあるようです。
特に年齢を重ねた場合、若い頃と同じケアでは保湿力が不足しがちになるのです。
肌の潤いを保つ組織
一般に皮膚の水分量は、
・皮脂
・天然保湿因子
・角質細胞間脂質
の三種類の物質によって一定に保たれています。
角質層に保持されている水分のうち2~3%を皮脂膜が、17~18%を天然保湿因子、残りの約80%は、セラミドなど角質細胞間脂質によって守られています。
これら三つの保湿因子は
・加齢
・熱いお湯への長時間の入浴
・洗浄力の強いボディソープの使用
などで減少します。
またこれらの因子が保持している水分量は、外気や室内環境の影響を強く受けます。
空気中の湿度が50%以下になると角質層の水分が急激に蒸発しやすくなるといわれています。
こんな時、肌の乾燥を防ぐのは主に皮脂膜です。
皮脂膜は汗と皮脂(皮脂腺から分泌される脂)が混ざり合ったもので、”天然のクリーム”とも呼ばれています。
油の膜として肌の表面を覆うことで、
・水分の蒸発を防ぐ
・皮膚表面をなめらかにする
・脂肪酸で肌を弱酸性に保ち細菌の繁殖を防ぐ
といった機能を果たしています。
この「油分でフタをして水分をキープ」の原理は、多くの女性が日々のスキンケアで実践しています。
皮脂膜の働きを人為的に行うのですから、原理に反しているわけではありません。
しかし「それだけやっていれば良い」というわけでもなさそうです。
次のコンテンツをご覧ください。
化粧水→油分でフタの注意点
美容を意識する女性にとって、
化粧水をつける
↓
乳液やクリームで上から”フタ”をする
という行程はほぼ常識ではないでしょうか。
美容系の記事を読んでも、多くはこのやり方を推奨しています。
しかし、この方法であればどんなケースでもOK、というわけではありません。
まず、松下皮フ形成外科の松下博明院長は、油分の塗りすぎに警鐘を鳴らしています。
オイルを過度に肌に塗ると、セラミドを主成分とした細胞間脂質のバランスが崩れ、バリア機能が損なわれてしまうことがあります。
(医師が教える正しいスキンケア大全63ページ)
本来「皮脂膜」の分泌量はごくわずかです。
「たくさん塗ったほうが水分キープ力が高まるのでは?」と考えがちですが、塗りすぎは良くありません。
製品で説明されている使用量を守りましょう。
保湿機能自体が弱っていたら「フタ」をしても効果薄
もうひとつ注意すべきなのは、肌の保湿機能自体が低下していないか?ということです。
上で解説しているように、肌の保湿因子は加齢によって減少していきます。
保湿機能が備わっていない肌に水分を与えても、肌はその水分をキープする力がありません。
たとえるなら、皿に霧吹きで水をかけるようなものです。一時的に皿の表面が潤っても、すぐに乾燥してしまいます。
ここで、皿の上にスポンジ(保湿成分)を乗せたらどうでしょうか?
水分を与えれば、スポンジは水を吸収してしばらくキープしてくれます。つまり、潤いがしばらく続くわけです。
吉木伸子医師は、著書の中でこのように解説されています。
化粧水で与えた水分が蒸発しないように乳液の油分でフタをするというのは、少し古い考え方。
保湿するならば、セラミドなどを含んだ美容液を使うことが最新の正しいケア方法です。
「いちばん正しいスキンケアの教科書」74ページ)
化粧水だけでなく、「スポンジ」であるセラミドなどを含んだ美容液を使う必要がある、というわけです。
「化粧水→乳液やクリームでフタ」のやり方で実感が得られているのであれば、変える必要はありません。若いうちは、これでもOKなケースが多いでしょう。
しかし年齢を重ねるなどして、「どうもイマイチ・・・」「若い頃と勝手が違う」と不調を感じているなら、まずは保湿成分を肌に補給することを意識してみてはいかがでしょうか。
化粧水だけでなくセラミドなどを含む美容液の使用が必要かもしれません。